… 空の向こう …

― どうする人生後半.. つれづれなる思い ―

RADIO SAKAMOTO 1

 

...なんだか悲しくて、思わず書き取ってしまった...

 

『 幸宏との長い付き合いの中で嫌なことは一つも思い浮かばない。
  全ては楽しい思い出として残っている。
  沢山の地に行き、沢山の経験を共にした。
  最初の出会いは衝撃だった。
  KENZOをまとったロックのドラマーがいるとは、、と僕は目を疑った。
  知り合って比較的すぐお宅におじゃました。
  僕は万年ジーンズにゴム草履、汚い足でお宅にあがるのはさすがに気が引けた。
  そして、家にまた衝撃を受ける。
  室内は、アールデコの調度品で統一されているのだ。
  なんという人なんだ、この幸宏という人は。
  間違いなく、それまでの僕の知り合いにはいないタイプの人間だった。
  ますます興味は深まった。
  僕が高校時代、青山通りでデモをしている同じ時間に、

  彼は青山のどこかでダンスパーティーをしていたのだ。
  そんなバックグラウンドが異なる僕たちは、不思議に気が合った。
  子犬がじゃれるように、毎晩のように東京の街へ。
  まだまだバブルの狂乱の数年前、一部のおしゃれな人たちが行く数件のBARを

  引き回された。
  東京にこんなところがあるのかと、驚いたものだ。
  そんなBARで飲みながら、彼の鼻歌をペーパーナプキンにいくつか書き取った

  ものだ。 
  そのうちのひとつが、”中国女” になった。
  彼ほど自分を表現することを好んだ人を他に知らない。

  なので、人生の最高期にそれが叶わないことがどれほどの苦痛だったのか、
  僕には想像もできない。
  夫人の喜代美さんは、それをよく支えて下さった。
  友に変わってお礼を言いたい。
  そして、最後のレコーディングが、大貫さんの曲だったんだなぁ。
  これも何かの縁だなぁ。
  それにしても、ライディーンが悲しい曲に聞こえてきちゃった。 』

 

【 SARAVAH! 】

 『  知り合ってまだ間もない無頼派の僕とおフランス主義の幸宏が何故か気が合った。
  出会ってまだ日が浅いのに幸宏のソロのアレンジを頼まれた。
       バブル以前の東京のホンの一角で起こりつつあったファッションや音楽を

  中心とした新しいライフスタイルを反映しているアルバム、名曲揃いです。』